「水の中で、本当に普通に呼吸できるのかな」
初めて体験ダイビングを考えた時、この不安が頭に浮かぶのは珍しいことではありません。
結論からお伝えすると、ダイビングではレギュレーターという器材から呼吸できます。ただし、マスクを着け、口だけで器材から呼吸する感覚は、陸上での呼吸とは少し違います。
そのため、最初は空気を吸えているのに「少し息苦しい気がする」「もっと吸わなければ」と感じる方がいます。
大切なのは、無理に潜ろうとしないことです。
呼吸が落ち着くまで浅い場所で練習し、苦しい時は我慢せずインストラクターへ知らせる。改善しなければ、その日のダイビングを中止しても構いません。
海に携わって27年以上、9000本を超えるダイビングをご案内してきましたが、呼吸に慣れる速さは本当に人それぞれです。
すぐに慣れる方もいれば、少し時間が必要な方もいます。早くできることより、自分の呼吸が落ち着いていることの方がずっと大切です。
この記事では、ダイビングの呼吸が不安な初心者の方へ、呼吸の仕組み、息苦しく感じる原因、焦った時の対処法、事前にできる準備まで、現場での経験を交えながらお話しします。
ダイビングではどうやって呼吸するの?

ダイビングでは、タンクの空気を「レギュレーター」という器材を通して呼吸します。
口にくわえる部分をセカンドステージといい、息を吸うと、周囲の水圧に合わせて調整された空気が送られてくる仕組みになっています。
強く吸い込んで空気を引っ張り出す必要はありません。正しく準備された器材であれば、口から普通に吸って、口から吐くことで呼吸できます。
ただし、陸上とまったく同じ感覚ではありません。
マスクが鼻を覆っているため、基本的な呼吸は口から行います。口にはレギュレーターが入り、顔の周りには水があり、自分の吐いた泡の音も聞こえます。
頭では「呼吸できる」と分かっていても、身体がその感覚に慣れるまで少し時間がかかることがあるのです。
詳しい仕組みについては、こちらの記事で解説しています。
ダイビングで呼吸が苦しく感じる主な理由

ダイビング中に息苦しく感じる理由は、一つではありません。
初心者の場合は、慣れない口呼吸や緊張が関係していることが多いのですが、すべてを「気持ちの問題」と決めつけてはいけません。
口だけの呼吸に慣れていない
普段、私たちは鼻と口を意識せずに使い分けています。
ところが、ダイビングではレギュレーターをくわえ、主に口から呼吸します。マスクで鼻が覆われていることもあり、最初は「鼻から吸えない」という感覚に戸惑う方がいます。
呼吸できていても、いつもと違うというだけで、不安になることがあるのです。
緊張して呼吸が速く、浅くなっている
水に顔をつけた瞬間、身体に力が入り、呼吸が急に速くなることがあります。
「ちゃんと吸わなければ」
「早く潜らなければ」
「みんなを待たせたら申し訳ない」
そう思うほど肩や口元に力が入り、短く浅い呼吸になりやすくなります。
呼吸が速くなると、本人はたくさん息をしているつもりでも、だんだん「空気が足りないような感覚」になることがあります。
吸うことばかり考えて、十分に吐けていない
呼吸が心配な方ほど「もっと吸わなければ」と考えます。
しかし、吸うことばかり続けようとすると、吐く方がおろそかになり、次の空気が入りにくいように感じることがあります。
ここで必要なのは、肺の空気を力いっぱい吐き切ることではありません。
肩やあごの力を抜いて、息を止めず、少しゆったり吐いてみる。それだけで呼吸のリズムを取り戻せることがあります。
身体に力が入り、必要以上に動いている
水中で姿勢を保とうとして手足を大きく動かしたり、フィンを強く蹴り続けたりすると、呼吸は速くなります。
ウェットスーツやBCDがきつい、姿勢が苦しい、流れの中で頑張って泳いでいるといった状況も、呼吸の負担につながります。
初心者の体験ダイビングでは、自分で頑張って泳ごうとしなくても大丈夫です。
まず動きを止め、インストラクターに身体や器材を支えてもらい、呼吸を整えることを優先します。
器材や空気供給に問題がある
息苦しさを感じた時に、何でも「緊張のせい」と判断するのは危険です。
レギュレーターが吸いにくい、マウスピースがずれている、ホースの位置が悪い、タンクのバルブや空気残量に問題があるなど、器材側を確認すべき場合もあります。
呼吸に違和感があったら、遠慮せずすぐにインストラクターへ知らせてください。
インストラクターが器材、空気残量、姿勢、BCDやウェットスーツの状態を確認します。
体調や持病が関係している
喘息や喘鳴、肺・心臓の病気、胸の痛み、運動時の息切れ、パニック発作の治療歴、服用している薬などがある場合は、予約時に伝える必要があります。
該当するからといって、必ずダイビングができないという意味ではありません。ただし、ダイビング前に医師の評価や承認が必要になる場合があります。
体調が悪い日や、普段と違う息苦しさがある日は、無理に参加しないことも大切です。
ダイビング中に呼吸が苦しくなった時の対処法

呼吸が苦しいと感じた時に一番大切なのは、それ以上無理に潜ろうとしないことです。
覚えておいてほしい順番は、次のとおりです。
1.まず動きを止める
フィンキックや潜降を止めます。
浅い場所であれば、そのまま浅場にとどまります。水中ではインストラクターにつかまる、身体や器材を支えてもらうなど、安定した姿勢を作ります。
2.インストラクターへ知らせる
「少し苦しいだけだから」と我慢する必要はありません。
インストラクターを見て、「大丈夫ではない」という合図を送ります。呼吸やレギュレーターを指して知らせても構いません。
違和感が小さいうちに伝える方が、落ち着いて対処できます。
3.レギュレーターを口から外さず、呼吸を続ける
苦しく感じると、レギュレーターを外したくなることがありますが、水中では口にくわえたまま呼吸を続けます。
息を止めず、肩とあごの力を抜きます。
無理に大きく吸おうとせず、まずは今ある息を、少しゆったり吐いてみてください。吐いた後の空気は、レギュレーターから自然に入ってきます。
4.改善しなければダイビングを終了する
止まって呼吸を整え、器材を確認しても息苦しさが改善しない場合は、ダイビングを続けません。
インストラクターと一緒に、安全な方法で水面へ戻ります。自分だけで慌てて急浮上しないことが重要です。
水面へ戻ることや、ダイビングを中止することは失敗ではありません。
海は、我慢比べをする場所ではないのです。
「パニックになったらどうしよう」と不安な方へ

パニックは、本人には突然起きたように感じられることがあります。
ただ、その前に、
- 呼吸が速くなる
- 身体に力が入る
- 器材を強く握る
- インストラクターの合図が目に入らなくなる
- すぐ水面へ逃げたくなる
といった変化が現れることがあります。
「ちょっと苦しいかも」
「なんだか落ち着かない」
そう感じた時点で、潜降や移動を止めてください。
早い段階で止まり、インストラクターを見て、呼吸を続ける時間を作ることで、不安が大きくなる前に対処しやすくなります。
それでも怖さが強い場合は、浅い場所へ戻るか、ダイビングを終了します。無理に続けさせることはありません。
ダイビング前にできる呼吸の準備

体験ダイビングのために、肺活量を鍛えたり、息を長く止める練習をしたりする必要はありません。
むしろ、スキューバダイビングでは呼吸を止めず、吸う・吐くを続けることが基本です。
自宅やホテルで準備するなら、椅子に座った状態で肩の力を抜き、口から楽に吸って、少しゆったり吐く程度で十分です。
苦しくなるほど長く吐いたり、何度も激しく深呼吸したりする必要はありません。
また、水中で一人だけの呼吸練習や息止め練習はしないでください。
事前準備で特に大切なのは、次の4つです。
- 呼吸が心配だと予約時に伝えておく
- 前日はしっかり休み、体調を整える
- 「苦しい」「止まりたい」と伝える合図を確認する
- 早く潜ろうとせず、浅い場所で慣れるつもりで参加する
詳しい準備方法は、こちらの記事で紹介しています。
呼吸の不安を隠さなくていいショップを選んでください
体験ダイビングは、どこで申し込んでも同じ進め方になるわけではありません。
呼吸に不安がある方は、予約前に次の点を確認しておくと安心です。
- 日本語で不安を相談できるか
- 1人のインストラクターが何人を担当するか
- 浅い場所で呼吸を練習できるか
- 慣れるまで待ってもらえるか
- 水中で身体や器材を支えてもらえるか
- 怖くなった時に中止できるか
「呼吸が心配です」と相談した時に、「大丈夫、大丈夫」と終わらせるのではなく、どのような方法で練習し、どのように支えてくれるのかまで説明してくれるショップを選んでください。
くらげ村では、呼吸が落ち着くまで潜りません

バリ島くらげ村の体験ダイビングは、1人のインストラクターにつき最大2名様までです。
当日は日本人インストラクターが器材の使い方や呼吸方法、水中サインを日本語で説明します。
海へ入った後は、その日のポイントに合わせて、足の着く浅い場所、またはインストラクターが身体や器材を支えられる水面で、まず呼吸に慣れていただきます。
いきなり深い場所へ連れていくことはありません。
水中ではインストラクターがタンクやBCを持ち、必要に応じて手も支えます。体験ダイバーの方を一人で泳がせることもありません。
2人で参加して、一人だけ呼吸に慣れるまで時間がかかっても、早い方に無理に合わせる必要はありません。
5分で慣れる方もいれば、もっと時間が必要な方もいます。
一度顔を上げて休み、もう一度やってみることもできます。それでも不安が強ければ、その日は潜らないという判断もできます。
くらげ村のスローダイブは、早く潜るための方法ではありません。
安心して呼吸できる状態になってから、ゆっくり海へ入っていくためのダイビングです。
ダイビングの呼吸に関するよくある質問
ダイビングでは本当に水中で呼吸できますか?
はい。レギュレーターを正しく使用することで、タンクから供給される空気を口で吸い、口から吐くことができます。初めての方は、浅い場所で器材から呼吸する感覚に慣れてから潜ります。
初めて呼吸を苦しく感じるのは普通ですか?
慣れない口呼吸や緊張により、最初に息苦しいような感覚を持つことは珍しくありません。ただし、すべてを緊張のせいにせず、苦しい時は潜降を止め、インストラクターに知らせて器材と体調を確認します。
ダイビング中は大きく深呼吸した方がいいですか?
無理に大きく吸ったり、苦しくなるほど長く吐いたりする必要はありません。肩の力を抜き、息を止めず、ゆったりと吸う・吐くを続けることが基本です。
呼吸が苦しくなったら、レギュレーターを外してもいいですか?
水中ではレギュレーターを口から外さず、インストラクターへ知らせてください。動きを止めて器材を確認し、改善しなければインストラクターと一緒に安全に水面へ戻ります。
パニックになりそうな時はどうすればいいですか?
まず潜降や移動を止め、インストラクターを見て合図を送ります。レギュレーターをくわえたまま呼吸を続け、必要であれば浅い場所へ戻るか、ダイビングを終了します。
肺活量が少なくても体験ダイビングはできますか?
大きな肺活量だけで参加の可否が決まるものではありません。落ち着いて呼吸できることや、健康状態の方が重要です。肺・心臓の病気、喘息、運動時の息切れなどがある場合は、事前に申告し、必要に応じて医師へ相談してください。
泳げなくてもレギュレーターで呼吸できますか?
泳ぐ能力と、レギュレーターから呼吸することは別です。くらげ村の体験ダイビングでは、インストラクターが身体と器材を支えるため、自分一人で泳ぐ必要はありません。
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「息が吸いにくい」「うまく吐けない」「パニックになりそう」など、呼吸の不安は人によって少しずつ違います。
今の不安に近い記事からご覧ください。
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- ダイビングで息を吐くのが苦手な人へ|呼吸を楽にするコツ
- ダイビングでパニックになりそうな時の対処法
- ダイビング前にできる呼吸の練習|自宅でできる簡単な準備
呼吸だけでなく、耳抜き・船酔い・泳げないこと・足が届かない海など、初めてのダイビングやシュノーケリングにはいろいろな不安があります。
ほかの不安もまとめて確認したい方は、体験ダイビング・シュノーケリング初心者の不安解消ガイドもご覧ください。
呼吸に不安があるからこそ、急がず始めましょう

「呼吸が心配」という気持ちは、ダイビングに向いていない証拠ではありません。
経験したことのない水中呼吸を不安に思うのは、自然なことです。
ただし、「初心者なら苦しくても普通」と我慢する必要もありません。
苦しい時は止まる。
インストラクターへ知らせる。
呼吸と器材を確認する。
改善しなければ、水面へ戻る。
この選択肢を最初から持っておくだけでも、気持ちは少し楽になります。
最初から上手にできなくても大丈夫です。
呼吸が落ち着くまで待ってくれる環境で、自分のペースで少しずつ水に慣れていきましょう。
バリ島で体験ダイビングをしてみたいけれど、呼吸、耳抜き、泳ぎなどに不安がある方は、予約を決める前でも構いません。
LINEで「呼吸が心配です」と一言送っていただければ、どのような方法が合いそうか、日本語で一緒に考えます。
バリ島でダイビング・シュノーケリングをしてみたいけれど、泳げない・海が怖い・久しぶりで不安という方、大丈夫です、無理にできるフリをしなくていいんです。
くらげ村では、日本語で事前にご相談いただきながら、少人数で急がず、その方のペースに合わせてご案内しています(#^^#)
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