「せっかくバリ島でダイビングをするなら、ヌサペニダでマンタやマンボウを見てみたい!」
そう思う方は多いと思います。
ヌサペニダは、色鮮やかなサンゴ礁、ダイナミックな地形、大きなマンタ、乾季にはマンボウとの出会いも期待できる、世界中のダイバーが憧れる海です。
ただ、最初に結論からお伝えします。
ヌサペニダはとても魅力的な海ですが、バリ島くらげ村では基本的に中~上級者向けのダイビングエリアと考えています。
Cカードを持っていれば、誰でも安心して楽しめる海ではありません。
流れ、波、うねり、乾季の低水温、船酔い、ボートの多さなど、初心者ダイバーさんには負担になりやすい条件が重なることがあるからです。
これは「ヌサペニダは危険だから行かない方がいい」という話ではありません。
せっかく憧れの海へ行くなら、「怖かった」「寒かった」「しんどかった」だけで終わらず、マンタやマンボウ、サンゴ礁の景色を心から楽しんでほしい。
そのために、行く前に知っておいてほしいことを、現場で初心者ダイバーさんをご案内してきた立場からお話しします。
この記事は、Cカードを持っている初心者ダイバーさん、経験本数が少ない方、ブランクがある方を対象にしています。
Cカードをお持ちでなく、ヌサペニダで初めての体験ダイビングを検討している方は、ヌサペニダで体験ダイビングは初心者に危ない?をご覧ください。
ヌサペニダは、本当に素晴らしい海です
ヌサペニダには、ほかのダイビングポイントではなかなか味わえない魅力があります。
大きなマンタが頭上をゆっくり泳ぐ姿。
乾季に深場から上がってくるマンボウ。
一面に広がるサンゴ礁と、その上を泳ぐ魚の群れ。
透明度の良い日に見渡す、ダイナミックな水中景観。
僕自身も、ヌサペニダの海は大好きです。
条件の良い日に、スキルと経験に余裕のある方と潜れば、本当に素晴らしいダイビングになります。
ただし、SNSやYouTubeでよく見かけるのは、その日の中でも特にきれいだった瞬間です。
マンタが優雅に泳いでいる映像だけでは、その日の波やうねり、ボートの揺れ、水温、流れの強さまでは伝わりません。
映像では穏やかに見えても、実際に海へ入ると、初心者ダイバーさんには想像以上に忙しく感じることがあります。
「Cカードを持っている」と「余裕を持って潜れる」は別です
ここは、とても大切なところです。
Cカードを取得すると、
「もうどこの海でも潜れる」
「ライセンスがあるから、ヌサペニダにも行ける」
と思ってしまう方もいらっしゃいます。
でも、Cカードの取得はゴールではなく、自分で安全にダイビングを楽しんでいくためのスタートです。
実際には、ライセンスを持っていても、
- まだ中性浮力が安定しない
- 流れがあると呼吸が速くなる
- 耳抜きに集中すると周りが見えなくなる
- 残圧や水深を確認する余裕がない
- ガイドから少し離れると不安になる
- ボートからのエントリーやエキジットに慣れていない
という方は少なくありません。
穏やかな海であれば、ガイドの近くでゆっくり潜ることで楽しめる場合もあります。
しかし、ヌサペニダでは、周りの状況を確認しながら、自分の浮力、深度、呼吸、残圧を自分で管理する必要があります。
Cカードを持っているかどうかだけではなく、水中でどれだけ余裕を持って行動できるかが大切です。
ヌサペニダが中~上級者向けと言われる理由
流れが強くなることがあります

ヌサペニダ周辺は、ポイントや潮の時間によって流れが強くなることがあります。
穏やかに見えていた海が、潜っている途中から流れ始めることもあります。
流れがある海では、呼吸が速くなったり、ガイドとの距離が開いたり、行きたい方向へ思うように進めなかったりします。

場合によっては、下方向へ引かれるダウンカレントが発生することもあります。
流れの中で大切なのは、力任せに逆らうことではありません。
落ち着いて呼吸し、深度を確認し、中性浮力を保ちながら、ガイドの指示に従って行動することです。
そのためには、ある程度の経験と、水中での余裕が必要になります。
波やうねりが大きい日があります

マンタポイント周辺は、波やうねりが大きくなることがあります。
水中だけでなく、水面でボートを待つ時間や、ボートへ戻る時にも揺れを感じます。
初心者ダイバーさんの場合、水中では大丈夫でも、水面に出た瞬間に波を受けて怖くなったり、ボートへ上がる時に体力を使ったりすることがあります。
エントリーしたあとに、マスクやレギュレーターを整えながらガイドと合流する。
ダイビングを終えたら、水面でグループから離れずにボートを待つ。
こうした動きにも慣れている方が安心です。
海況が短時間で変わることがあります

ヌサペニダでは、時間や潮の変化によって、流れや水面の状況が変わることがあります。
朝は穏やかに見えていても、次のダイビングでは状況が変わっていることも珍しくありません。
自然の海ですので、予定していたポイントへ必ず行けるわけではありません。
マンタポイントやマンボウを狙うポイントも、当日の海況によって変更や中止になる場合があります。
「せっかく来たから、何があっても行きたい」ではなく、その日の海況に合わせて予定を変えられることも、安全に楽しむためには大切です。
乾季は水温が低くなることがあります

「南国バリ島だから、海も一年中暖かい」
そんなイメージをお持ちの方も多いと思います。
しかし、乾季のヌサペニダでは、水温が20℃前後まで下がる日があります。
暖かい場所から冷たい海へ入ると、想像以上に身体が驚きます。
寒さで身体に力が入り、呼吸が速くなったり、耳抜きや中性浮力に集中しにくくなったりする方もいます。
マンボウを狙う時期は、ちょうど水温が下がりやすい時期でもあります。
「マンボウを見たい」という気持ちだけでなく、低水温でも落ち着いて潜れる準備が必要です。
ボート移動と船酔いも負担になります

ヌサペニダのダイビングは、ポイントまでボートで移動します。
海況によってはボートが大きく揺れ、潜る前から船酔いしてしまう方もいます。
船酔いすると、気分が悪くなるだけではありません。
食事や水分を取りにくくなり、体力が落ち、ダイビングへ集中する余裕もなくなってしまいます。
「水中に入れば治るから大丈夫」と思っていても、何本も潜る一日のツアーでは、移動と休憩を含めて長い時間を海の上で過ごします。
船酔いしやすい方は、ヌサペニダを選ぶ前に慎重に考えた方が安心です。
水面には多くのボートが往来します

人気シーズンのヌサペニダには、世界中から多くのダイバーが集まります。
水中には複数のダイビンググループが入り、水面にはスピードボートが行き来します。
ほかのグループと混ざった時にも、自分のガイドを見失わないこと。
浮上する時には、周囲と頭上を確認すること。
ガイドとはぐれた場合の手順を理解していること。
こうした基本的な知識と行動も必要です。
マンボウは深い場所で見られることがあります
マンボウは、いつも浅い場所に現れるわけではありません。
深い場所に見えたからといって、夢中になって追いかけてよい生き物でもありません。
深度が増えるほど、空気の消費や減圧不要限界、浮上時の管理にも注意が必要です。
大物を目の前にすると、ついカメラや生き物だけを見てしまいます。
そんな時でも、自分の深度、残圧、ガイドの位置を確認できる余裕が必要です。
「人気がある海」と「初心者向きの海」は違います
有名なポイントだから、誰でも気軽に潜れる。
初心者参加可能と書いてあるから、初心者向き。
必ずしも、そうではありません。
例えば、富士山から見るご来光が素晴らしいからといって、登山経験のない人が準備をせず、いきなり弾丸登山をしても大丈夫とは限りません。
海も同じです。
マンタやマンボウに会える素晴らしい海だからこそ、その海を楽しめるだけの準備をしてから入った方がいい。
僕たちがヌサペニダを中~上級者向けとお伝えしているのは、行かせたくないからではありません。
憧れの海を「怖かった海」にしてほしくないからです。
ヌサペニダへ行く前に確認してほしいこと
経験本数だけで、ヌサペニダへ行ける・行けないを判断することはできません。
本数が多くても、長いブランクがあれば不安になることがあります。
反対に、本数がそれほど多くなくても、定期的に潜り、基本スキルが安定している方もいます。
予約前に、次の項目を確認してみてください。
- 水中で落ち着いて呼吸できますか?
- 中性浮力を自分で調整できますか?
- 耳抜きをしながら、周りを見る余裕がありますか?
- 流れのある海を経験したことがありますか?
- ボートダイビングのエントリーとエキジットに慣れていますか?
- 自分で残圧と水深を確認できますか?
- ガイドとはぐれた場合の手順を理解していますか?
- 船酔いや低水温への準備ができますか?
全部に完璧に答えられなければダメ、という意味ではありません。
ただ、
「耳抜きだけで精一杯になる」
「中性浮力はガイドに任せている」
「流れが出ると怖くなる」
という場合は、まず穏やかなポイントで経験を増やした方が、最終的にヌサペニダをもっと楽しめると思います。
初心者・ブランクダイバーさんには、別の素晴らしい海もあります
バリ島の魅力は、ヌサペニダだけではありません。
パダンバイ、アメッド、トランベンにも、サンゴ礁、たくさんの魚、沈船、ウミガメなど、それぞれ素晴らしい景色があります。
海況の良い日に、自分のペースでゆっくり潜れるポイントを選べば、
「呼吸を落ち着ける」
「耳抜きに余裕を持つ」
「中性浮力を思い出す」
「周りの景色を見る」
という経験を積むことができます。
その経験は、将来ヌサペニダへ行く時に必ず役立ちます。
各エリアの違いは、バリ島ダイビングポイント比較|初心者におすすめはどこ?で詳しくご紹介しています。
久しぶりのダイビングで不安がある方は、いきなりヌサペニダを目指すのではなく、バリ島くらげ村のリフレッシュダイビングから始める方法もあります。
くらげ村では、初日からヌサペニダへご案内していません
バリ島くらげ村では、ヌサペニダ・レンボンガンを中~上級者向けのポイントとしてご案内しています。
そのため、初めてご参加いただく方を、初日からヌサペニダへご案内していません。
まずは別のポイントで一緒に潜り、
- 呼吸の落ち着き
- 耳抜き
- 中性浮力
- フィンキック
- ガイドとの距離
- 残圧や深度の管理
- ボートダイビングへの慣れ
などを確認します。
「初心者だからダメ」
「経験本数が少ないからダメ」
と、数字だけで決めているわけではありません。
その方が、その日のヌサペニダを本当に安心して楽しめるかどうかを見て判断しています。
くらげ村が参加条件を設けている詳しい理由は、マンタ・マンボウが見たい方へ|ヌサペニダに参加条件を設けている理由をご覧ください。
マンタポイント特有の波やうねり、ボート環境については、マンタに会いたい初心者へ|予約前に知ってほしいことで詳しく解説しています。
今はまだ行かないという判断も、立派なダイビングスキルです
「せっかくバリ島まで来たのに、ヌサペニダへ行けないのは残念」
そう感じる方もいると思います。
でも、ダイビングは、有名なポイントへ行った人が偉いわけではありません。
深く潜った人が上手なわけでもありません。
その日の海と自分の状態を見て、無理をしない判断ができること。
これも、とても大切なダイビングスキルです。
今回は穏やかな海で余裕を増やす。
次のダイビングでは、もう少し流れのある海を経験する。
中性浮力やボートダイビングに慣れてから、改めてヌサペニダを目指す。
そうやって準備してから見るマンタやマンボウは、きっと「怖くて必死だった景色」ではなく、心から楽しめる景色になると思います。
まとめ|ヌサペニダは、準備してから楽しんでほしい海です
ヌサペニダは、マンタ、マンボウ、美しいサンゴ礁、ダイナミックな景色を楽しめる、本当に素晴らしい海です。
一方で、
- 強い流れ
- 波やうねり
- 急な海況変化
- 乾季の低水温
- 船酔い
- 多くのボートやダイバー
- 深い水深
など、初心者ダイバーさんには負担になりやすい条件があります。
Cカードを持っていることと、その海を余裕を持って楽しめることは同じではありません。
今の自分に合った海で経験を積み、呼吸や耳抜き、中性浮力に余裕が出てから挑戦しても、決して遅くありません。
ヌサペニダを否定したいのではありません。
素晴らしい海だからこそ、しっかり準備して、心から楽しんでほしい。
それが、初心者ダイバーさんを長くご案内してきた僕たちの本音です。
ヌサペニダ関連の記事を目的別に探したい方は、ヌサペニダ・レンボンガンのダイビング総合案内をご覧ください。
文章だけでなく動画でも確認したい方は、初心者向けヌサペニダ解説動画もご用意しています。
よくある質問
ヌサペニダは初心者でも潜れますか?
海況が穏やかな日には経験の浅い方が潜れる場合もありますが、くらげ村では基本的に中~上級者向けと考えています。経験本数だけでなく、呼吸、耳抜き、中性浮力、ボートダイビングへの慣れなどを確認して判断します。
Cカードを持っていればヌサペニダへ行けますか?
Cカードを持っているだけでは判断できません。ライセンス取得直後の方や、ブランクが長く基本スキルに不安がある方には、まず穏やかなポイントやリフレッシュダイビングをご提案しています。
何本くらい経験すれば参加できますか?
「何本以上なら大丈夫」という一律の基準はありません。経験本数よりも、現在の中性浮力、耳抜き、呼吸、残圧管理、流れへの対応などを重視します。
くらげ村ではヌサペニダで体験ダイビングを行っていますか?
いいえ。くらげ村では、Cカードを持っていない方を対象としたヌサペニダでの体験ダイビングは行っていません。初めての方には、海況を確認したうえで、より穏やかなポイントをご提案しています。
マンタは一年中見られますか?
ヌサペニダでは一年を通してマンタに出会える可能性がありますが、野生の生き物なので必ず見られるとは限りません。海況によっては、マンタポイントへ行けない場合もあります。
マンボウはいつ見られますか?
マンボウは乾季を中心に狙うことが多い生き物ですが、必ず見られるわけではありません。また、マンボウを狙う時期は水温が低くなりやすく、深い場所で見られる場合もあるため、十分な経験と準備が必要です。
船酔いしやすくても参加できますか?
ヌサペニダはボート移動が長く、海況によっては大きく揺れることがあります。船酔いしやすい方は、参加前に必ずご相談ください。普段使用している酔い止めがある場合は、用法を守って使用してください。
自分がヌサペニダへ行けるレベルか相談できますか?
はい。経験本数、最後に潜った時期、これまでに潜った海、耳抜きや中性浮力など苦手なことを教えてください。無理にヌサペニダをおすすめせず、現在の経験に合ったダイビングプランをご提案します。
どのポイントが自分に合うか分からない方も大丈夫です。
人数、希望日、経験本数、最後に潜った時期、不安なことを日本語でご相談ください。
バリ島でダイビング・シュノーケリングをしてみたいけれど、泳げない・海が怖い・久しぶりで不安という方、大丈夫です、無理にできるフリをしなくていいんです。
くらげ村では、日本語で事前にご相談いただきながら、少人数で急がず、その方のペースに合わせてご案内しています(#^^#)
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