バリ島での水難事故が起こらないよう啓発の意味を込めて、この記事を書いてます。ヌサペニダのダイビングを否定しているわけではありませんので、誤解のないようお願い致します。
スキューバダイビングは自然の中に入るマリンレジャー
バリ島に限らず、スキューバダイビングは“海”という大自然の中に入って その景色や環境を楽しむレジャーです。
先日、こんな記事を読みました。同じ自然の中に入るレジャーガイドとして、同じ思いです。
山のお話ですが、日本一高い富士山へご来光を狙っての頂上アタック、当然ハードルも高いと思われるはずなんですが、記事にある通り登山経験のほとんどない人が軽装でマナー違反や弾丸登山。。。別記事では 低体温症 高山病 疲労などが原因で、実際に救助者も増えているという事です。
この記事は、バリ島ダイビングの例で言うと、テペコン・ミンパン、ビアハ、セランも思い浮かべましたが、メジャーどころで言うとヌサペニダでのダイビングに一番当てはまると思います。
ヌサペニダは、サンゴ礁の群生は恐らくバリ島随一、マンタは年中狙って潜る事ができ、乾季は透明度も良く マンボウを狙って潜る事ができる世界有数のダイビングポイントです。
これだけ聞けば「なんて素晴らしいダイビングポイント!是非潜ってみたい!」と思われるでしょう。
しかし
SNSなどで「マンボウ見れた」「マンタに逢えた」と情報が拡散され、いとも簡単に大物に出逢えると錯覚してしまいがちですが、そうではありません。
ヌサペニダは
- 流れが速い
- マンタポイントは往々にしてウネリが大きい
- 乾季は水温が下がる
- マンボウシーズンはダイバーだらけ、水面はスピードボートが頻繁に往来
- マンボウは基本的に水深が深い
- 船に弱い人は確実に船酔いする
こういう環境下で、海況も変わりやすいポイントで、初心者ダイバーさん ブランクダイバーさんには厳しい悪海況となる日が多いんです。
だから ある程度のスキル・経験・知識をお持ちの“中~上級者向けダイビングポイント”という位置づけとなります。
ヌサペニダは、プチ漂流や軽度の低体温症なんかも含めると、大なり小なり 毎年ダイビング事故が起こっているところです。
これを読んでもピンとこない方は、間違いなくまだヌサペニダなどの中~上級者向けダイビングポイントに入るだけのスキルや知識、経験が不足しています。
どうすればヌサペニダを楽しめる?
今やヌサペニダは押しも押されぬ人気スポットとなっており、バリ島のダイビングショップさんの大半は「マンボウ」「マンタ」を商品にバンバン売り出してます。
キレイなサンゴ礁を見たい、大物を見たい、というお気持ちは本当に良くわかります。
しかし、それならば、まず、ご自身のスキル・経験のレベルを正直に把握してください。
ヌサペニダに潜る以上、耳抜き・中性浮力・フィンキックなどの基礎スキルは普通に出来て当たり前です。
ご自身で防寒対策・船酔い対策を取ってくるのも当たり前の事です。
ガイドの指示を無視したり、我先に大物ダッシュするなんてナンセンスです。
例えば、コチラの項目に答えられますか?
- 低水温の海域に潜る場合、前もってどんな準備をしますか?
- 深い水深に潜る際にはどんな危険性がありますか?
- 万が一ガイドとはぐれてしまったり 流されてしまったら、どうしますか?
ザっとですが、この辺に答えられるくらいのスキル・経験・知識、あと常識を踏まえた方なら、中~上級者向けポイントでもお楽しみ頂けるかと思います。
また
何かあっても助けてもらえる
と思っておられるのであれば、今はまだ中~上級者向けポイントに潜るのはやめておきましょう。
海も山も同じ
自然って本当に厳しいんです。山も海も同じです。
もしあなたが まだ初心者・ブランクダイバーさんであるなら、「いきなり富士山弾丸登山でご来光」のように「いきなりバリ島ヌサペニダでマンタ・マンボウ」とせず、まずは初心者からでも楽しんで頂けるダイビングポイントに潜ってみて下さい。
バリ島ではパダンバイ・トランベン・アメッド辺りが一番良いかと思いますが、それでも日によっては流れが出たり、水温が少し下がったり、透明度が悪くなったりします。
そんな中で楽しみながら 色んな経験ができ、知らないうちにスキルもドンドン上達します。
その上で、ヌサペニダなどの中~上級者向けダイビングポイントをお考え下さい。
これは、あなたのせっかくのバリ島ダイビングが「しんどかった」「辛かった」「怖かった」で終わらないよう、また あなたの安全や、敷いてはダイビングガイド・ボートクルーの安全の為でもあるのです。
その事を忘れないで下さい。