バリ島ダイビング&シュノーケリングサービス jellyfish(バリ島くらげ村)でございます。
バリ島の乾季がシーズンの「マンボウ」、皆さん憧れの大物の一つですね。でも、マンボウの事を詳しく知らない方も多いかと思います。
今回は、マンボウについて調べてまとめてみました。
バリ島で見れるマンボウは何マンボウ?
マンボウと一口に言っても数種類いるんです。
では、バリ島で見れるマンボウは “何マンボウ” なんでしょうか?
ウシマンボウになります。
全高 約2.5m前後のものが多いです。
シーズンは大体7月から10月頃まで、ヌサペニダ周辺のダイビングポイント、主にクリスタルベイというポイントで狙う事ができます。
普段深海に棲んでいるマンボウ、低水温域が好きで、この時期に上げ潮に乗って浅いところ(と言っても水深30~40m)に上がってきて、ハタタテダイやタテジマキンチャクダイに体の付いた寄生虫を食べてもらう“クリーニング”をしてもらいます。そこを狙ってダイバーが見に行く、という形です。
マンボウ当たり年は往々にして水温20度を下回りますので とにかく寒い、いえ、極寒です。
潮が大きく動く大潮の日が遭遇率が高い感がありますが、流れも出やすいので注意が必要です。
稀に水面まで上がってくるところに遭遇しますが、マンボウは通常上がってきても30~40mほどまでですので、深度潜水となります。
“低水温” “流れ” “深い”、このような厳しい海況から、マンボウ狙いは中~上級者ダイバー向けとなります。
この悪条件を見てもピンとこない方は、まだダイビングの知識・経験不足だと思います。知識・経験・スキルがまだ少ないビギナーさんが無理して入ると「怖い」「しんどい」で終わる事が往々にしてあります。
マンボウ見たいけど、まだビギナーで…という方、是非一度お問い合わせ下さい(#^^#)
マンボウの種類・見分け方
それでは、マンボウの種類と、その見分け方についてご紹介致します。
まずはコチラの「マンボウ早見表」をご覧下さい。
大きくはフグの仲間になるマンボウですので、フグ目となります。
そこからマンボウ科に別れ、3種属に分類されています。
- マンボウ属に“マンボウ”、“ウシマンボウ”、“カクレマンボウ”
- ヤリマンボウ属に“ヤリマンボウ”
- クサビフグ属に“クサビフグ”
ここでわかるように、現在マンボウに属しているのは3種類いることになります。
体は側面から見ると円盤型、正面から見ると紡錘形をしています。多くの魚が持つ尾びれと腹びれはありません。背びれと尻びれは長く発達し、体の後部から上下に突き出ていて、体の後端にある尾びれのような部分は、背びれと尻びれの一部が変形したもので、舵ヒレと呼ばれています。
ヤリマンボウはヤリマンボウ属、クサビフグはクサビフグ属と、近い種ですが別属となっています。
マンボウとよく間違えられる“アカマンボウ”は、アカマンボウ目アカマンボウ科アカマンボウ属ですので、そもそもマンボウの仲間ではないという事になります。
では、表にも記載している分類と見分け方で、それぞれのマンボウを見て行きましょう。
マンボウ
フグ目マンボウ科マンボウ属
学名 mola-mola
舵ヒレが波打っているところから分類できます。
大きいもので全長3mを超えるとありますが、実際に発見されたものはウシマンボウの可能性もあり、よくわかっていません。
ウシマンボウ
フグ目マンボウ科マンボウ属
学名 Mola-alexandrini
画像のウシマンボウはかなり成長して大きくなったものですので、バリ島で見られるウシマンボウとはまったく別種に見えますが、同種という事です。
舵ヒレが丸く、成長と共に頭部・顎部が隆起します。
マンボウよりも大きくなる種で、全長・全高共に3mを超え、重量2t超えの個体も発見されています。2021年12月9日にアゾレス諸島で発見された個体は「世界で最も重い硬骨魚」としてギネス世界記録に認定されています。
カクレマンボウ
フグ目マンボウ科マンボウ属
学名 Mola-tecta
マンボウ属の中ではスリムで少し小さめな種で、現在確認されているもので 全長2.5m弱。
日本近海では確認されていません。
画像からは確認しにくいのですが、舵ヒレの中央辺りが少し凹んでいる事から分類できる、とされていますが、実際はマンボウにかなり類似しており、学者さんでも外観からの判別は難しいとされています。
名前の由来は、マンボウと類似している(一時期は同種とされていた)が DNA鑑定では別種とされた“隠蔽種”であった為、ラテン語の tecta(隠された・秘密にされた)を用いて、Mola-tecta(カクレマンボウ)となったそうです。
ヤリマンボウ
フグ目マンボウ科ヤリマンボウ属
学名 Masturus-lanceolatus
マンボウ属と似ていますが、目の位置が少し前である事、下あごが上あごよりも出てシャクレている事、舵ヒレの一部が突き出ている事から分類できます。
マンボウ属と比べてよく動き回るようで、メキシコ湾で観察されたヤリマンボウは 1日平均10㎞を泳ぐことがわかっています。
クサビフグ
フグ目マンボウ科クサビフグ属
学名 Ranzania-laevis
クサビフグ属の中で唯一の種。全長は平均50cmほど、最大で1mの個体が確認されています。
マンボウ属と比べて小型で、体は前に突き出ており、舵ヒレは斜め、顔に波模様が入っている事から容易に分類できます。
アカマンボウ
マンボウの仲間でも何でもないのですが、よく間違えられるお魚ですので、ついでにご紹介させて頂きます。
学名 Lampris-megalopsis
別名 マンダイ。体型はマンボウ属に似ていますが、尾鰭・背鰭・腹鰭をもっており、リュウグウノツカイの近縁の魚となります。
最大で全長2m、270kgほどに成長するという大型魚で、なんと味が良いので食べたら美味しくて、ハワイや沖縄では結構食べられている食材として人気のお魚だそうです。
謎多きマンボウの不思議
ボーっとしてるように見えるのに 泳ぐとめちゃくちゃ早かったり、普段は深海にいるのに たまに水面で日向ぼっこしてたりと、色々な話を聞くマンボウ。不思議なお魚ですよね。
そんなマンボウの不思議をご紹介致します。
マンボウとフグの祖先は同じ
マンボウはフグと同じフグ目で、大きくは仲間であり、背中とお腹に骨がないという骨格も同じなんです。ではなぜこんなに大きさが違ったりしているのでしょうか?
一説によると、これは進化の過程で
- フグ・・・防御の為に膨らんで針を出して威嚇&毒
- マンボウ・・・襲われないくらいデカくなればいい
という違う方向に進んだものと考えられています。
背中とお腹に骨がないのも、フグは膨らむ際に骨が邪魔になる、マンボウは早く大きく成長する為には骨は邪魔になる(時間が掛かる)、からだと言われています。
マンボウの主食は何?
マンボウの主食は“クラゲ”です。
基本あまり動かないマンボウ、フワフワ流れてきたクラゲなら簡単に食べられる…みたいな怠けた食事をしている模様。他にもプランクトン、藻類、サルパなども食べます。
たまに小魚なども捕食しているようで、その時はものすごく早く泳ぐそうです。
研究者の発表によれば、マンボウの胃の内容物から深海性のイカやカニ、イワシ、カニ、ホタテが出た事もあり、結構グルメでもあるみたいです。
マンボウは普段はどこにいるの?
ダイバーには浅くに上がってきたマンボウしか見る事ができません。普段はどこにいるのでしょうか?
通常マンボウは深海にいます。その種や海域によっても違いがあるようですが、研究では200m以深にいる事が多いそうで、マンボウで600~800m、よく泳ぐヤリマンボウは1000m以上まで潜ったという観測記録があります。
マンボウは浮袋を持たない
マンボウは浮袋を持たず、表皮下のゼラチンを使って浮上するそうです。
800m~0mをス~っと移動すると言われるマンボウ、深海と水面を行き来する際に浮袋があると邪魔なのかもしれませんね。
マンボウにはまぶたがある
魚類には珍しく、マンボウにまぶたを持っています。
瞼を持つ他の生き物のように、何か刺激を予感して目を瞑るとも言われています。
マンボウは、ひょっとすると 他の魚類よりも脳が発達しているのかもしれませんね。
マンボウの雌雄の見分け方
現在まで、外観からのマンボウの雌雄の見分け方はわかっていません。解剖して生殖腺を確認するしかないようです。
もし興味がございましたら、こちらの外部サイトで解剖写真をご覧下さい。
⇒ マンボウ科魚類の雌雄の見分け方
産卵・稚魚の成長
マンボウの繁殖・産卵に関しては、未だによく分かっていません。複数回の産卵、3億個の卵を産む、という情報もあるのですが、どれも肯定されていません。
マンボウのメスのお腹から8000万個の卵が見つかったという報告もあるそうですが、それを何回に分けて放出するのかなど、全て未知だという事です。
マンボウの稚魚が大きさが1㎜ほどの時は、見た目が“金平糖”のような棘を持った形体「モラカンサス幼体」で海中を浮遊し、やがて棘も尾鰭も無くなり、成魚の形体へと変わると言われています。
水面で日向ぼっこ&マンボウジャンプ
マンボウが水面に横たわってプカプカ浮いてる事があります(sunfishと呼ばれる所以)。
これは、体に付いた寄生虫を 小魚やカモメに取ってもらう“クリーニング”と、深海で冷えた体を温めているのではないか、と考えられています。
マンボウが水面をジャンプする事があります。
これは、体に付いた寄生虫を落とすためではないか、と言われています。
こんなシーン、見れたらラッキーですよ!
マンボウ最弱説って本当なの?
マンボウはすぐに死んでしまう、という話をよく聞きます。
例えば
- まっすぐしか泳げないため岩にぶつかって死亡
- 皮膚が弱すぎて触っただけで痕が付き、それが原因で死亡
- 潜ったら水が冷たすぎて死亡
- 朝日が強すぎて死亡
- 水面で日にあたっていたら鳥につつかれて死亡
- 寝ていたら陸に打ち上げられて死亡
- 寄生虫を殺すためにジャンプして水面に当たり死亡
- 食べた魚の骨が喉に詰まって死亡
- 食べたエビやカニの殻が内蔵に刺さって死亡
- 水中の泡が目に入ったストレスで死亡
- 海水の塩分が肌に染みたショックで死亡
- 前から来るウミガメとぶつかる予感がしたストレスで死亡
- 近くに居た仲間が死亡したショックで死亡
- 近くに居た仲間が死亡したショックで死亡した仲間から受けたストレスで死亡…
本当にこんな要因で死んでしまっていたら、弱すぎですよね(;゚Д゚)
しかし、この最弱説はデマのようです。でないと絶滅危惧種に即認定されてるでしょう。
主に水族館の飼育員の方のお話を調べてみたのですが、ここまで行き過ぎたデリケートなお魚ではなく、ジャンプしても死にませんし、皮膚は皮の下にゼラチン層があるのでわりと硬く頑丈などなど。
急な方向転換は苦手のようで、それが原因で、水族館のマンボウはガラスにぶつかる事がある為、周りに網を張っているという事でした。
マンボウ まとめ
ダイバーの憧れの大物魚の一つ “マンボウ” についてまとめてみましたが、如何だったでしょうか?
バリ島でのダイビングで狙えるマンボウは「ウシマンボウ」というマンボウの中では一番大きくなる種です。
他のマンボウやその仲間についても 現在解明されている事をまとめてみましたが、まだまだわからない事が多い不思議なお魚なんですね。
そして、マンボウを狙って潜る際は、往々にして“低水温” “深い” “流れ”などの厳しい海況になっても対応できるだけのスキルや経験、事前の準備などが必要となります。はっきり言ってビギナーさんには厳しい環境です。
マンボウを狙う際は、ご自身のスキル・経験などを正直に把握し、よくよくお考え下さいね。
何かございましたら、バリ島くらげ村までお問い合わせ下さい(^o^)/