ダイビング・シュノーケリングで観られる不思議な“動物”
バリ島の海でなくても 浅瀬から深場まで、ダイビングでもシュノーケリングでも観る事ができる、どう見ても海藻の類にしか見えない「ウミシダ」。
ウミシダとは、棘皮動物門ウミユリ網ウミシダ目に属する動物の総称とあり、口もあり肛門もある、これでも“動物”。もっと言うとヒトデと同じ棘皮動物なんです。
ニッポンウミシダ、ヒメウミシダ、クシウミシダ、マダラウミシダ、オオウミシダ、ヒガサウミシダなどなど その種類も無数で、世界で600種、日本近海で130種が確認されています。研究者か よほど興味がない限り 恐らく全て覚られる事はなく、総称「ウミシダ」と呼ばれ続けるでしょう。
中背板(中央の円盤)を中心に無数の“植物のシダ類”に似た腕を持っているところから「ウミシダ」という和名が付けられ、その腕を無数に伸ばしています。
その腕で流れてきたプランクトンやデトリタス(微生物の死骸など)など捉えてを口に運びます。
その腕を5本しか持たないイツウデウミシダもいれば、多種は100本以上の腕を持つものまでいるそうです。
バリ島の海でダイビングしていても、なんだか毎年増えてきてる?!感があります。
ウミシダの歩き泳ぐ姿、ダイビングで観れるかも?!
ウミユリ網は基本的には固着性が高く、一度そこにくっつくとまず移動しないそうです。
ウミシダも岩やサンゴにくっついて ジッとしているイメージがありますが、歩いたり泳いだり、独自で移動します。
生息場所もあまり関係ないようで、サンゴ礁域でなくても、ただの砂地でも着生しています。
水深10m以内の浅瀬でよく見かけると思いますが、30mオーバーでも普通に生息していて、水深もあまり関係ないのかもしれません。
先日のダイビングで、その“泳ぐウミシダ”の動画が撮れましたので、是非ご覧下さい。
ビギナーダイバーさんは気をつけて
中性浮力が安定していないビギナーダイバーさんやブランクダイバーさんは、つい着底してしまい、ウェットスーツの膝などにウミシダがくっついたまま 気付かずにそのまま泳いでいたり、「取れない!取れない!」と焦ってる方をたま~に見かけます。(ウチのゲストさん含む 汗💦)
ウミシダは、ウミシウダウバウオ、ニシキフウライウオ、ウミシダカクレエビ、アンボンクリノイドシュリンプ、スイクチムシなどのホストになっていますので、くっつけてしまうとウミシダだけでなく、他の生物達も大変な事に(゚Д゚;)
そういった水中生物の為にも、ダイビング中は中性浮力をしっかり取って、お写真を撮る時なども足元ひざ元などに気をつけて下さいね。
もしかしたら不死?!
カナダのブリティッシュコロンビア大学のアンジェラ・スティーブンソン教授は、15年以上前からウミシダやウミユリなどのウミユリ綱の動物を研究をしています。
その研究の中で、
- ウミシダの腕は切れても 1日1㎜弱の速さで再生する
- 中背板さえ無事なら元の大きさに再生する
- 寿命が明らかになっておらず、不死の可能性もある
- 温暖化が進み海水温が上がると再生速度も速くなる
という事がわかっています。
というかわからない事だらけ謎だらけの生物、という事。
温暖化はウミシダが生息しやすい環境を促進していて、確かに近年増えてきてるのかなぁ感があります。
サンゴは死滅してもウミシダは生き続けます。
「彼らに必要なのは、食物を運ぶ海流と着生する足場だけ。足場は何でもよく、サンゴである必要はないのです」
と研究者は語るのです。
2億年前からそのままの姿で生き続けていると言われる、生きた化石“ウミシダ”。
ウミユリ網はさらにその昔から存在していると言われています。
そんなミステリアスな生物がこんな身近にいて、バリ島ではダイビングやシュノーケリングで簡単に観られるなんて、ちょっと面白くないですか?(*^▽^*)
ウミシダを食べた強者の話
現在は話題性になる事ならなんだってする人が多く、自分で試さなくていいので、良い時代がやってきたと感じています?!
ウミシダを食べた人がいるそうで、
- 体全体を覆う殻が硬くて食べれない
- サポニン系の毒を持っているので生食は無理
- 煮ると臭い
- 腕の中身はほぼ骨で食べるところなし
- 中背板の中身は「ホヤ臭い水溶き片栗粉」味
なのだそうです。
現在話題の昆虫色が進んでいますが、ウミシダ食は進み・・・そうにありませんね(;^_^A